オススメ度:★★☆☆☆
2018年9月28日公開のアメリカの映画。
監督/脚本:ジョン・クラシンスキー
制作:マイケル・ベイ
キャスト:エミリー・ブラント、ジョン・クラシンスキー、ミリセント・シモンズ、ノア・ジュープ、レオン・ラッサム
音に反応し人間を襲う“何か”によって荒廃した世界で、生き残った1組の家族がいた。
その“何か”は、呼吸の音さえ逃さない。誰かが一瞬でも音を立てると、即死する。
手話を使い、裸足で歩き、道には砂を敷き詰め、静寂と共に暮らすエヴリン&リーの夫婦と子供たちだが、
なんとエヴリンは出産を目前に控えているのであった。
果たして彼らは、無事最後まで沈黙を貫けるのか――?
作品概要
「アルマゲドン」「パールハーバー」「ザ・ロック」などのメガヒットを連発するマイケル・ベイが制作を務め、全米公開後、低予算ながら初登場No.1でオープニング成績5,000万ドルという数字を叩き出す。
累計興行収入も近年のホラー話題作を軽々超え、更には「レディ・プレイヤー1」「グレイテスト・ショーマン」などをも超える成績を記録したサバイバルホラー映画。
主演は「ボーダーライン」のエミリー・ブラント、ブラントの夫である俳優ジョン・クラシンスキーが脚本と監督を兼任しています。
あらすじ
2020年、隕石と共に宇宙からやって来た怪物のために人類は絶滅の危機に陥っていた。
怪物は盲目であるが、極めて鋭敏な聴覚を有しており、それを利用して人間を食い散らかしていたのである。
多くの人間が捕食され、生存者はほとんど居ない荒廃した世界を逞しく生き延びていたのが
リー(父)、イヴリン(母)、リーガン(長女)、マーカス(長男)、ビュー(次男)
の5人家族であるアボット一家であった。
一家は手話を使用することで音を立てずに意思疎通を図っていた。
物資を補充した帰り道、一家の末っ子であるビューに長女リーガンがおもちゃのロケットをあげる。
帰り道ビューの持つロケットが突如鳴り出し、ビューは音を察知した怪物に殺されてしまう…
それから一年後、アボット一家は引き続いて音を立てない生活を心がけていた。
娘のリーガンはビューが死んだのは自分のせいだと心を閉ざしてしまっていた。
リーとリーガンの関係は徐々に険悪なものになって行き、リーガンは一家の中で孤立していると感じるようになった。
そんなある日、リーとマーカスが食料調達に出かけた時に、留守番をして居たイヴリンとリーガンが誤って音を立ててしまう。
聞きつけて集まってきた怪物から果たして生きて逃れる事ができるのだろうか?
キャスト
エヴリン(エミリー・ブラント)
この荒廃した世界で、家族を愛し、生きる望みを捨てない気丈な母親。
妊娠しており、産まれてくる子供を護るために 様々な工夫をしている。
リー(ジョン・クランシスキー)
妻と子供を護り、生き抜くための知恵を持つ頼りになる父親。
不器用ではあるが、家族を心の底から愛している。
リーガン(ミリセント・シモンズ)
聴覚障害を持つ長女。
弟を死なせたのは自分のせいだと負い目を感じている。
マーカス(ノア・ジュープ)
臆病な長男。
いつも怪物に怯えているが、家族が危機に瀕した時は勇気を持って行動できる強さがある。
感想
低予算にも拘らず、2018年No.1大ヒットホラー映画として成功しただけの事はある。
”沈黙”をテーマにしただけあって劇場での緊張感は半端じゃ無い。
ポップコーンなど絶対に食べられないし、息をするのも躊躇する。
この映画を見る時は間違ってもポップコーンは買わないようにしよう、周りの客から顰蹙を買います(笑)
さて肝心の内容だが、個人的な趣味嗜好も入っているので一概にそうだとは言えないと最初に断ってはおくが、総合的には色々と残念な映画に感じた。
”物音を立てられない”荒廃した世界”というのは良いアイディアなのだが「サバイバルホラー」との相性としては微妙と言えば微妙であった。
霊などが相手の超常現象ホラーや、人間が相手のサイコスリラー系のストーリーならまだ良かったかも知れないが今回は宇宙生命体が相手である。謂わばエイリアン。
この種の敵を相手取って(音を出せないため)重火器で一切発砲できないのはやはり迫力に欠ける。
それと同時に声を出せないため、悲鳴はおろか指示も出せないので、ただただ無音の世界で物語が展開する。
それが”売り”と言えばそうなのかも知れないが、やはりこれも少し盛り上がりに欠けるような気がした。
それでもストーリーや設定がしっかりしていれば良かったのだろうが、エイリアンの襲来により世界が荒廃した過程も、他に人類が生存している描写もなく、この世界で他に生存者がいるのかどうかも全くわからず、劇中でも一切それに触れない、その事について会話もない。
この辺りに”サバイバルホラー”に対しての脚本のぬるさを感じ得ず、非常に残念である。
エンディング間際、怪物をショットガンにて近距離からのヘッドショットで倒すシーンがある。
その瞬間「え?コイツらって銃が効くの??」と驚いた。
しかし銃が効くなら、リーは死ぬ必要があったのだろうか?と疑問に思う。
子を守るため犠牲になる感動的な死だったが、無抵抗で死ぬくらいなら怪物を銃で撃ち殺した方がよいだろうに…
たしかに発砲すると大量に集まってくるだろうから極力控えるべきなのは分かるが、生きてこそではあると思うので、色々と矛盾を感じ得ずにはいられなかった。
まったく銃を撃たないどころか所持もしていないので、筆者はこの終盤の発砲シーンまで勝手な思い込みで「銃は通じない」と思っていたくらいだ。筆者以外にもそう思い込んでいた観客はいたと思う。
エンディングも中途半端な終わりかたで、まるで「クライマックスはこれからだ」というような場面で終劇となる。
コンセプトは良いのに、それを活かしきれてない設定と脚本で台無しになったように思う。
敢えて引き合いに出すのなら、同じようなジャンルで2007年にウィル・スミス主演で公開された「アイ・アム・レジェンド」の方がかなり本格的なサバイバルホラーだと思う。
しかし2018全米No.1大ヒットホラーらしいし、確かに劇場での緊張感は半端無かったので、とにかく緊張感があり驚かされるホラーが好みの方には楽しめるかも知れない。
ただ一つ言えるのは、この映画、劇場で観てこその価値があると言う事だ。
自宅でDVDで見る場合(リアルで)音を出せるので、息をも止める緊張感は味わえないと思う。
気になってる方はまだ上映されてるので、ぜひ劇場で観ることをお勧めします。
今回は「クワイエット・プレイス」の紹介でした。