オススメ度:★★★★☆
『ルパン三世 THE FIRST』が2019年12月6日に公開となりました。
不朽の名作『カリオストロの城』から40年──。
原作者モンキー・パンチ悲願の3DCGによる「ルパン三世」23年ぶりの劇場版がスクリーンに参上!
監督・脚本:山崎貴
原作:モンキーパンチ
音楽:大野雄二
ルパン三世
狙った獲物は必ず手に入れる、神出鬼没の大泥棒──。
1967年「漫画アクション」にて連載が始まった「ルパン三世」。
モンキー・パンチが描く、ルパンと一味たちの冒険活劇は瞬く間に話題となった。
1971年にはTVアニメ「ルパン三世」(PART1)の放送が開始され、1977年から放送されたTVアニメ「ルパン三世」(PART2)での赤いジャケットを着たルパンの、カッコいいながらおちゃめでコミカルな姿が多くの人の心を掴み、人気の地位を不動のものとした。
その後もシリーズ初の劇場版『ルパン三世 ルパンVS複製人間』(1978年)や、あの宮崎駿監督の映画初監督作品『ルパン三世 カリオストロの城』(1979年)など、現在でも色褪せることなく愛される数々の名作たちを世に送り出してきた。
ルパン三世 THE FIRST
映画『ルパン三世 THE FIRST』予告【12月6日(金)公開】
不朽の名作『カリオストロの城』から40年、日本のVFXの第一人者である山崎貴の手によりシリーズ初となる3GCDアニメーションでの劇場版が制作された。
『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』の不評で多少心配はしたが、そんな心配はどこ吹く風。
幼い頃から大ファンだったと公言する山崎監督が描く「ルパン三世」は、まさしく我々がずっと目をキラキラさせながら見ていたあの、おちゃらけていながらも大切な場面はこれ以上ないほどクールに決める“神出鬼没の大泥棒”を完全に再現していた。
この「ルパン三世」の3DCG劇場版の企画は、今年4月にこの世を去った原作者モンキー・パンチの悲願でもあった。
残念ながら劇場公開には間に合わなかったが、このクオリティにきっと天国で満足げに笑っていることだろう…。
カリオストロの城をフィーチャー
山崎監督は特に好きだった「ルパン三世シリーズ」に、劇場版『ルパン三世 カリオストロの城』やTV版『死の翼アルバトロス』『さらば愛しきルパン』など宮崎監督の作品を挙げている。
まさにリスペクト──。
本作はそんな監督の愛してやまない「ルパン三世」を完全にフィーチャーしており、昭和の時代から平成、そして令和と「ルパン三世」に憧れ続けてきた往年のファンにも大満足な演出となっている。
音楽は「ルパン三世のBGM」といえばこの人、大野雄二が担当。
最高にクールで、最高に熱い、あのルパン一味がスクリーンで大暴れする!
STORY
映画『ルパン三世 THE FIRST』予告2【12月6日(金)公開】
初代アルセーヌ・ルパンがたどり着けなかった夢に挑め!
かのアルセーヌ・ルパンが唯一盗むことに失敗した秘宝ブレッソン・ダイアリー。
その謎を解き明かしたものは莫大な財宝を手に入れるといわれている。
そんな伝説のターゲットを狙うルパンは考古学を愛する少女レティシアと出会い、2人で協力して謎を解くことに。
しかしブレッソン・ダイアリーを狙う秘密組織の研究者ランベールと、組織を操る謎の男ゲラルトが2人の前に立ちはだかる…。
ブレッソン・ダイアリーに隠された驚愕の真実とは一体⁉︎
パリ・メキシコ・ブラジル──
かつてないスケールのお宝争奪戦が幕を開ける‼︎
登場人物
ルパン三世:CV栗田貫一
かのアルセーヌ・ルパンの孫であり、狙った獲物は必ず奪う神出鬼没・天下の大泥棒。
抜群の身体能力と明晰な頭脳で盗めないものはないとされるが、美女に甘いのが唯一の弱点。
次元大介:CV小林清志
言わずと知れたルパンの相棒。
卓越したガンさばきは世界で並ぶものがいない。
酒とタバコをこよなく愛し、常にクールに状況を把握して一味のピンチを切り抜ける。
石川五ェ門:CV浪川大輔
剣の道に生きる大泥棒の末裔にして居合の達人。
この世に切れぬ物はない。
唯一無二の相棒・斬鉄剣と共に修行の日々を送っている。
峰不二子:CV沢城みゆき
類まれなる美貌とプロモーション、そして天才的な頭脳を併せ持つ。
己の欲望に忠実で、目的のためなら躊躇いなく他人を裏切る魔性の女。
銭形警部:CV山寺宏一
ICPO(インターポール)のルパン三世専任捜査官。
ルパンの逮捕に並々ならぬ執念を燃やし、ルパン参上の一報あらば世界中のどこへでも駆けつける。
レティシア:CV広瀬すず
ブレッソン・ダイアリーの謎を追う少女。
考古学が大好きで、その知識にはルパンも舌を巻く。
ランベール:CV吉田鋼太郎
ブレッソン・ダイアリーを追い求める秘密組織の研究者。
かつてはその優秀さから、有名研究機関の創立メンバーに選ばれるなど、輝かしい過去を持っていたが…。
ゲラルト:CV藤原竜也
ランベールに指示を出す謎の男。
目的のためには手段を選ばない冷徹な性格で、なかなか研究成果を上げられないランベールを軽蔑している。
3DCGアニメーション
アニメーションから3DCGになったが、キャラクターの動きや表情には全く違和感はなく、むしろアニメーション同様に活き活きと動いていた。
FIAT500や飛空挺などの機械は3DCGになったことで質感がリアルになり、カーチェイスシーンなどはアニメーション以上の迫力となっており必見である。
リアルな3DCGグラフィックでアニメ特有のド派手な演出を施した映像は、かつてない興奮へと視聴者を誘う。
そしてそのリアルなグラフィックでも「ルパン三世」への愛は要所に散りばめられている。
パリなのにルパンを追う銭形警部と警官隊の乗るパトカーにはもちろん“埼玉県警”の文字が描かれており、予告状には例のふざけたルパンのイラストが(笑)。
3DCGになってもそのすべての演出に「ルパン三世」に対するリスペクトが感じられる。
サウンド
さらに「ルパン三世」ファンとして感涙物なのが大野雄二によるBGMだ。
どれもこれも懐かしい曲だが、2019年版にアレンジされており、昔から聴いているはずなのになぜか新しく感じるBGMばかりである。
楽曲が使用されるタイミングも『カリオストロの城』をフィーチャーしており、新作を鑑賞しながら『カリオストロの城』の数々の名シーンが同時に目に浮かぶという不思議な感覚になる。
筆者は本作を観たその日にサウンドトラックを購入し、ずっとヘビロテしている毎日だ(笑)。
感想
待ちに待った23年ぶりの劇場版「ルパン三世」。
連載開始から50年以上、アニメ放送開始から45年以上が経ち、なお今も愛され続ける日本を代表するアニメシリーズの23年ぶりの劇場版にファンは胸を躍らせた。
筆者も幼い頃から「ルパン三世」の大ファンであり、テレビの再放送を毎週楽しみにしていたのを思い出す。
幼な過ぎて劇場では観ていないが『カリオストロの城』を金曜ロードショーで観た時の感動は今でも忘れることができない。
VHSのビデオに録って、何度も何度もテープが擦り切れるほど観た大好きな作品だ。
筆者は本作を公開初日の12月6日のレイトショーで鑑賞したが、夜22時からの上映なのにも関わらず場内の席は7割型埋まっていた。
予想してたことではあったがその年齢層の幅の広さに驚いた。
20代の青年から白髪の初老の紳士まで、ありとあらゆる年代の観客がいた。
昼間の上映回なら間違いなく、これに少年や子供たちの姿も混ざることだろう。
本作の歴史の長さと世代を問わず人を惹きつける「ルパン三世」の格好よさを再認識させられた。
もう一つ忘れてはいけないのが本作のヒロイン・レティシアだ。
『カリオストロの城』のクラリスの様に「ルパン三世」の物語には魅力的なヒロインが欠かせない。
今作のヒロイン・レティシアは考古学を愛する純粋でまっすぐな瞳を持つ少女。
自分の夢のために頑張るちょっとお転婆な彼女は、クラリスというより『紅の豚』のフィオ寄りイメージであるが、文句なしでヒロインにふさわしい素敵な女の子だ。
魅力的なヒロインと中年大泥棒のドタバタ活劇、そして劇中ではっきりと表現される演出はないが、芽生えただろうと思われるレティシアの淡い恋心…。
古き良き昭和のヒーローが40年の時を経て、令和の新しい技術で生まれ変わる!
これは令和に蘇った『カリオストロの城』だ!
ルパンたちはお宝を手に入れることができたのか?
盗めない物はないと言われた初代アルセーヌ・ルパンがなぜ唯一ブレッソン・ダイアリーだけは盗めなかったのか?
レティシアの恋の行方は?
その結末は是非劇場で確かめて欲しい。
この冬、3DCGとなった「ルパン三世」が、日本中の“心”を盗みます。
今回は不朽の名作『カリオストロの城』から40年──。待望の劇場版『ルパン三世 THE FIRST』の紹介でした!
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