オススメ度:★★☆☆☆
『ハイドライド・スペシャル』は1986年3月18日に東芝EMIによりファミコン用ソフトとして発売されたアクションロールプレイングゲーム。
元は1984年にPC用ゲームソフトとして発売された『ハイドライド』の移植であり、開発はPC版と同じくT&Eソフトとなっている。
ファミコンとしては初めての本格RPGと言う事で有名なタイトルである。
ハイドライドシリーズ
1984年にPC-8800用ソフトとして発売され、長年に渡って数多くの機種に移植された国産ARPG。
たくさんのハードに移植された本シリーズの販売本数はパソコン向け100万本、家庭用100万本で累計200万本に達した大ヒットタイトルだった。
ハイドライドスペシャル
1986年に『ハイドライド』のシステムを踏襲し、それに『ハイドライドⅡ』で導入された魔法要素を追加する形でファミコン用として発売された。
開発はT&Eソフトであるが、発売元は東芝EMIとなっている。
ドラゴンクエストより2ヵ月前の発売であり、ファミコンにおける本格RPGとしては初めてのタイトルと言われている。
ストーリー
王様の住んでいる宮殿と、広大な緑の国フェアリーランドは、宮殿に祭られた三つの宝石によって、王国の平和がたもたれていました。
ところが、ある心ない人間の手で宝石のひとつが盗まれてしまいました。
そして宝石によって封印されていた最強の悪魔バラリスが目をさましてしまいました。
悪魔バラリスは、国王の娘、アン王女までも魔力によって三人の妖精にしてフェアリーランドのどこかにかくしてしまったのです。
さらに国中に怪物を解き放ち、フェアリーランドを支配してしまいました。
この悪魔バラリスの悪業にたえかね、一人の若者が立ち上がりました。
彼の名はジム。
ジムは剣とヨロイに身をつつみ、怪物のうごめく荒野へ敢然と挑戦していったのです。
ゲームシステム
シンプルなARPGであり、剣による物理攻撃は体当たりにて行う。
ジムは「ATTACK」と「DEFENSE」のモードがあり、Aボタンを押している間はATTACKモード。
ATTACKモード時は攻撃力が高く、防御力が低い。
DEFENSEモードはその逆となる。
敵の後ろや横に回り込みATTACKモードで体当たりをして敵を倒そう。
必要なアイテムを手に入れながら、フェアリーランドを旅して、悪魔バラリスを倒せばエンディング。
早すぎたファミコン版
ファミコン初のRPGと言う事で子供たちの間ではそこそこ有名なソフトだった。
しかし、まだRPGは当時のファミっ子には早すぎた。
「RPGがどういうモノか?」というのがゲーマーであれば当然知っている現代ならまだしも、知識がまったくない状態の子供たちは、突然広大な世界に放り出され、何をすれば良いかまったく解らず右往左往するだけであった。
更にPC版の大人たち向けの難易度でそのまま移植されたため、小学生たちには相当な難易度でもあった。
おまけにシステムコマンドはすべて英語で読めなかった(笑)
筆者もまだ幼く、このゲームの持つワクワクするような雰囲気だけは感じられたが、やはり何をすればいいか解らずに早い段階で匙を投げてしまった。
ゲーム自体は良作
ハイドライドスペシャルの名誉のためにも言っておくと、ゲームシステムもよくできており、バランスも良好、移植度の高さもかなりのモノだった。
レベルアップをするたびにHP・MP・STRなどがちゃんと上がっていき、強くなっていく面白さも感じられるし、謎を解いていく快感もある。
システム面でも当時のファミコンソフトとしては驚愕のSAVE機能搭載であり、電源を切らない限りSAVEしたデータから再開できる。しかし電源を切る際はパスワードを控えて、再びプレイする時はパスワード入力にて始める必要があった。
子供のころ進め方が解らない為クソゲー認定してた本作だが、数年後にプレイし直したらなかなか面白かった記憶がある。
最後に
2ヵ月後に販売されたドラゴンクエストは、コマンド式とは言え同じRPGなのに大ヒットした。
その理由はRPGに慣れていないこの時代のファミっ子たちの為に、ゲーム序盤にチュートリアル的な仕組みを用意した事が大きかったと思われる。
その辺は流石堀井雄二氏と言ったところであろう。
本タイトルも、チュートリアルを導入し、難易度を子供向けに数段落とし、コマンドを英語からカタカナへ変更さえしていればひょっとして大ヒットしたのではないかと個人的には考える。
しかしPCゲームではすでに人気のあったRPGをファミコンに移植するという試みは大きく評価したい。
この記事を書いている内に無性に本作で遊びたくなり、3DSのバーチャルコンソールで検索してみたが残念ながら配信されてないようだ。
Switchオンラインのレトロゲームで追加される事を祈りながら待つことにしよう。
今回はファミコン初の本格RPG『ハイドライドスペシャル』の紹介でした。
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