オススメ度:★★★★☆
1962年。天才ピアニストは、粗暴なイタリア人系用心棒を雇い、「黒人専用ガイドブック(グリーンブック)」を頼りに、あえて差別の色濃い南部へのコンサートツアーへ乗り出す。
旅の終わりに待ち受ける奇跡とは?
育ちも性格も肌の色も違う2人のおじさんの友情を描く実話が世界を感動させる!
胸が熱くなる最高の傑作!
本年度アカデミー賞にて『ボヘミアン・ラプソディ 』を抑えて「作品賞」を受賞!
他にも「助演男優賞」「脚本賞」と堂々の3部門受賞。
さらに本年度トロント国際映画祭にて「観客賞」受賞。
本年度屈指の名作として評価されている。
監督は『メリーに首ったけ(98)』などを手掛け、コメディーの名手として名高いピーター・ファレリー。
“マフィアの生き証人”として知られるトニー・バレロンガを『ロード・オブ・ザ・リング』のアラゴルン役として有名なヴィゴ・モーテンセンが熱演。
“天才ピアニスト”であり音楽、心理学、典礼芸術の博士号を持つドクター・ドナルド・シャーリーにはハリウッドで特別な存在感のある技巧派俳優マハーシャラ・アリが演じる。
視聴者を笑わせ、元気付け、そして胸を熱くさせてくれる、今年最高の一本であることは間違いない。
キャッチコピーは「行こうぜ、相棒。あんたにしかできないことがある。」
ストーリー
時は1962年、ニューヨークの一流ナイトクラブ、コパカバーナで用心棒を務めるトニー・リップはガサツで無学だが、腕っぷしはもちろんハッタリも得意で、家族や周囲から頼りにされていた。
コパカバーナが改装のために閉店となった2ヶ月間、トニーはある黒人ピアニストにコンサートツアーの運転手として雇われる。
彼の名はドクター・ドナルド・シャーリー、巨匠ストランヴィスキーから“神の域の技巧”と絶賛され、ケネディ大統領のためにホワイトハウスで演奏するほどの天才なのだが、なぜか黒人差別が色濃く残る危険な南部を目指していた。
黒人用ガイドブック「グリーンブック」を頼りに2人はツアーへと出発する。
はじめは自分の流儀を譲らず、衝突ばかりしていた2人だが、トニーはドクター・シャーリーの奏でる今まで聴いたことのない美しい音色に魅せられ、繊細で孤独な彼を守ってやりたいと思うようになる。
ドクター・シャーリーはガサツで無教養だが、どんなトラブルも解決し、人間味に溢れるトニーに信頼を寄せてゆく。
やがて2人の間に立ちはだかる壁は崩れ、笑いの絶えない美しい旅へと変わっていく。
だが、ツアーの最後には重大な事件が彼らを待ち受けていた…。
父から息子へ…50年間あたためてきた実話
本作の脚本を手掛けたニック・バレロンガはプロデューサー、監督、脚本家、俳優として活躍している。
ニックは本作の主人公、トニー・バレロンガの実子であり、このトニー・リップとドクター・シャーリーの旅の話を幾度も聴きながら成長した。
ニックは、父親の生き方そのものを変えたこの旅を、いつか映画にしたいと考えていた。
そのため2人が晩年に差し掛かった頃、トニーに旅について語ってもらい、何時間も録音と録画をして記録をした。
また。家族ぐるみの友人として知っていたドクター・シャーリーにも連絡を取り、インタビューを行った。
こうして50年間大切にあたためられてきた実話が本作『グリーンブック』の脚本なのである。
感想
まだまだ肌の色の違いによる人種差別が横行していた1960年代アメリカ。
育ちも性格も、肌の色も違うおじさん2人が旅を続けていくうちに友情と信頼が芽生えていく物語は心温まること間違いなしの今期最高のバディームービーです。
人種差別という繊細なテーマも含まれてるとは思えないほど明朗快活なストーリーであり、起承転結もしっかりしていて、まさにエンターテイメントというべき名作でした。
観終わった後に、なぜか不思議と少年時代に観た数々の昭和ハリウッド映画を思い出させられました。王道的な内容があの頃大好きだった映画の雰囲気を感じさせたのかもしれません。
また劇中で流れるBGMも素晴らしく、60's初期のドゥーワップ・ナンバーや、ドン・シャーリー・トリオ名義の楽曲が古き良きアメリカを彷彿とさせ、物語に深みを持たせています。
これが実話を基にした物語であり、さらに脚本は実在した主人公の息子が父から聞かされた思い出話を脚本化したというのだから、事実はどんな創作物語より感動的であり素晴らしいということを再認識させられます。
そこにピーター・ファレリー監督によりコメディ要素も練り込まれ「笑いあり」「涙あり」そして「感動あり」のまさに“これぞ映画”というべき至高のタイトルに仕上がっています。
今回はアカデミー賞「作品賞」&トロント国際映画祭「観客賞」という映画界最高峰の賞をダブル受賞した2019年一推しのタイトル『GREEN BOOK』の紹介でした。
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