オススメ度:★★★☆☆
『Life Is Strange: Before the Storm(ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム)』は2018年6月7日にPS4ソフトとしてスクウェア・エニックスから発売されたアドベンチャーゲーム。
開発はDeck Nine Games。
略称はLiS BtS。
前作『ライフ イズ ストレンジ』の前日譚に当たるストーリーであるが開発元が変わっている。
前作『ライフ イズ ストレンジ』とは
世界で300万本超の販売を記録し、アメリカ・欧州を中心に多くのゲームアワードを受賞したアドベンチャーゲーム。
アメリカ・オレゴン州の架空の田舎街「アルカディア・ベイ」を舞台に、時間を巻き戻せる能力が発現した女子学生・マックスの青春を描く。
時間を巻き戻して過去をやり直すことで、短期的にはより良い未来になったように思えても、長期的には「予期不可能な大変化」が生じる場合もある、というカオス理論の一つ『バタフライ効果』(一匹の蝶の羽ばたきが将来、遠くで竜巻を引き起こすか?)をテーマとしている。
『ライフ イズストレンジ ビフォア ザ ストーム』とは
ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム: グランジトレーラー
2015年に発売され300万本超の販売を記録し、各国で様々なゲームアワードを受賞した『ライフ イズ ストレンジ』(Life Is Strange) の好評を受けて制作されたシリーズ第2弾。
『ライフ イズ ストレンジ』の3年前の世界、アメリカ・オレゴン州の架空の町「アルカディア・ベイ」を舞台に、16歳の少女クロエとレイチェルが育む友情を描く前日譚となっている。
前作は時間を巻き戻す能力を持つマックスが主人公だったが、本作の主人公クロエはそういった能力は持たない。
その代わり、勝ち気で頭の回転が速いクロエを象徴する「バックトーク」という会話システムが導入されている。
このバックトークを含むゲーム中のプレイヤーの選択によって、ストーリーの展開が変化する。他のゲームシステムは前作を踏襲している。
あらすじ
クロエは出口のないつらい世界にいる。
2年前大好きだった父親が死んだ。
親友のマックスは今は遠くシアトルにいて、悲しむ彼女を支えきれず連絡も取れなくなっている。
学校はお金持ちの子供が多いブラックウェルで、クロエ自身がうまく溶け込めないというか、クロエ自身が繋がりを拒否している。
元々言葉遣いも乱雑だった彼女だが、何かというと攻撃的な言葉で周りを傷つけ、酒やたばこにも手を出してしまう。
そして、“不良”として扱われる中でますます孤立していく。
奨学金をもらっているが、成績は下がり授業もサボりがちだった。
そしてそんな苦しいクロエの人生に大きな転機が訪れるのが、レイチェル・アンバーとの出会いだ。
検事の娘であり、モデルのような美人、成績は優秀で、学校の演劇で主役を務めるスター、生徒達のSNSでの中心人物でもある。
誰もがレイチェルの行動に注目している。
そんな彼女が、何の気まぐれか、クロエに興味を持ったのだ。
クロエはいきなり近づいてくるレイチェルに戸惑うが、徐々に不思議な魅力に溢れているレイチェルに惹かれていく。
しかしレイチェルには大きな心の闇があった。
その闇に気付いた時、クロエはレイチェルを救う事を決意する。
登場人物
このゲームはプレイヤーの選択肢によって物語の展開が変わります。
それにより各キャラクターと主人公の関係性は変わってきます。
赤字の部分は筆者のプレイでの印象です。
クロエ・プライス
ブラックウェル高校に通う16歳。
2年前に父・ウィリアムを事故で亡くした上、幼馴染の親友マックスとも離れ離れになり、世の中の全てに嫌気が差している。
前作は完全にグレてたけど、今作は「グレ始め」って感じ。
レイチェル・アンバー
クロエの同級生。15歳。
学校での評価や人気も非常に高い活動的な美少女だが、隠れた内面や悩みを秘めている。
めちゃ可愛い。こんな娘が同級生にいたら好きになっちゃうね。でも振り回されそう。
フランク・バワーズ
RV車に住みアルカディア・ベイで売人をしている男。
クロエにもドラッグを世話している。
犬好きで、「ポンピドゥー」という名の子犬を飼っている。
前作から思ってたけど、コイツめちゃ格好いい。ワルでワイルドだけど可愛いとこあるって言うか、筆者が女ならこういう男に惚れる。
デイモン・メリック
パンククラブの元オーナーで、売人のギャング。
フランクと知り合いだが、フランクよりも短気で暴力的。
コイツは糞野郎だよな。虫唾が走るほど救いようのないクズ。
ジョイス・プライス
クロエの母親。
父親の死で変わってしまったクロエに手を焼いている。
現在はデイビッドを心の拠り所とし、再婚を前提に付き合っている。
大阪のおかんって感じ。良いお母ちゃんなんだけど少しウザいw
デイビッド・マドセン
元軍人であり、現在は無職でジョイスの恋人。
クロエを気にかけてはいるものの、軍人気質で当たりがきつく、クロエとは度々衝突する。
根はいい奴だけど無口で不器用な感じ。まるで日本の頑固オヤジみたい。こうみるとジョイスとデイビッドのカップルってザ・昭和の日本の夫婦って感じだなw
レイ・ウェルズ
ブラックウェル高校の校長。
何度も問題を起こす素行不良のクロエに対して最後通告を突きつけている。
教育者失格だろ、コイツが先生だったら筆者でもグレるよ!
ビクトリア・チェイス
裕福な家の生まれで、学校の人気者であるレイチェルに嫉妬している。
金持ちなのを鼻にかけた嫌な女。でもコイツも見ようによっては可愛いとこも…無いなw
ドリュー・ノース
マイキーの兄。
アメリカンフットボールの才能を持つ。弟想いだが血の気が多い。
ジャイアンっぽい。最初ムカつくけど実は良いヤツ。心の友よ!
マイキー・ノース
ドリューの弟。テーブルトークRPG仲間であるステフと親しい。
のび太っぽい。個人的に好きなタイプ。
エリオット・ハンプテン
クロエの幼馴染で学業優秀。
以前からクロエに気があり、彼女の問題に関与しようとする。
コイツが一番の大どんでん返しだったよ。見事に騙された。
ステフ・ギングリッチ
クロエの友人。作中で上演される学校演劇「テンペスト」の舞台監督や衣装デザインなど裏方全般を担当。
「自分」という物ををしっかりと持ってる。嫌いじゃないよ、こういう娘。
前作との比較
タイムリープとバックトーク
前作は主人公マックスの「タイムリープ」という時を巻き戻す能力で、物語の展開を事前に変えて、悲劇を回避するシステムが醍醐味だったのに対して、今回主人公のクロエはいわゆる超能力は持たない普通の人間。
そこで導入されたシステムが「バックトーク」。
これは気が強く、頭の回転が早いクロエならではのシステムで、会話相手のバックボーンや言葉の節々に現れるキーワードを読み取り適切な会話の選択肢を選んでいくことにより相手を上手くやり込めるシステムだ。
会話の選択には時間制限がありタイムオーバーになったり、間違った選択肢を選んでしまうと会話は失敗となりその人との関係性は進行しない。
バックトークを失敗しても物語はちゃんと進んでいくしエンディングもしっかり見れる。
プレイ時間
前作はクリアまで20時間ほど掛かったのに比べ、今作は10時間ちょっとでクリアできた。
前日譚という事もあってか確実にストーリーは短くなっている。
しかし決して内容が気薄になっている訳ではなく、前作の雰囲気そのままにほろ苦い青春や人生のしがらみを体験でき、まるで1本のハリウッド映画を見ているような楽しさは踏襲されている。
前作をクリアしたプレイヤーには間違いなくお薦めできる良作のADVとなっている。
パラレルワールド
前作で好評だったクリア後に各章の「パラレルワールド」を遊べるようになるシステムは今作でも健在だ。
もしもあそこでこういう選択肢を取ったら?というプレイヤーの気になる部分を解決する「その後の展開」を体験することができるのでやってみよう。
最後まで嫌な奴だったキャラクターもバックトークを成功させていたら、実はその態度にも理由があり、解決してあげる事で仲良くなれたりするのだ。
ボーナスエピソード
ボーナスエピソードである「Farewell」ではさらに時を戻し,マックスが引っ越しする直前の,クロエとの友情の始まりをテーマにしたショートストーリーだ。
「ライフ イズ ストレンジ」の5年ほど前,つまりは彼女達がまだ12歳頃の姿で登場する,「前日譚の前日譚」という位置付けだ。
幸せだった頃のクロエが眩しくて、彼女をこれから待ち受ける運命を思うと少し胸が締め付けられるような気持ちになった。
クリアしての感想
前作に負けない、感慨深く切ない物語に深く感動できた。
映画好きでADVも好きなゲーマーには強くお薦めできるタイトルだ。
個人的には前作の「時間を巻き戻す能力」の方がSFチックな部分とゲームとしての意外性という部分で好きだった。
しかし今回の「会話で相手を丸め込む」システムもよりリアルな世界での物語という感じがして悪くはなかった。
特筆すべきはBGMである。前作も神懸かっていたが今作も負けずとも劣らぬ名曲揃い。
クロエとレイチェルの友情が思い浮かぶ数々の素晴らしい曲を堪能できる。
筆者もあまりにも良い曲すぎてプレイ中にしばらくゲーム操作をしないでBGMを聴いていたことが何度かあった。
今作ではレイチェルがとても魅力的に描かれており、彼女の屈託のない笑顔や無邪気な悪戯、そして時折見せる心の闇に惹かれる。
最後にはクロエの無二の親友となり最高のエンディングを迎えるが、この3年後が舞台の「ライフ イズ ストレンジ」ではレイチェルは行方不明となっている。
それを物語るかのように床に落ちたレイチェルのスマホにクロエからの着信がなり続けてる、という場面でラストが飾られる。
なんとも後味が悪く、悲しいラストである。
しかし前作をプレイした人は是非遊んでみて欲しい。
このシリーズを語るには外せないレイチェルという一人の女の子と主人公クロエの過ごした数日間という短いながらも感動的な時間をプレイヤーも体験して貰えればと思う。
今回は『Life Is Strange: Before the Storm』の紹介でした。
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