オススメ度:★★★★★
1987年9月4日に任天堂よりファミリーコンピュータディスクシステム専用ソフトとして発売されたテキストアドベンチャーゲーム。
約1ヶ月後の9月30日には後編が発売された。
日本に古くからある民話や昔話に登場するキャラクター達が総出演で一つの物語を紡いでいく和風ファンタジーとなっていて、ほのぼのとした世界観としっかりとしたストーリーで名作として名高いタイトルである。
ストーリー
前編
本作は全九章で構成されており、第一章〜四章までが前編、第五章〜九章が後編に収録されている。
前編、後編はそれぞれ別のディスクカードに収録されているので物語をクリアするのには2枚のディスクカードを購入する必要がある。
第一章
むかしむかし、長串村という山奥の小さな村に、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
ある日、子供がいなかった2人は、夢のお告げどおりに男の子と女の子の赤ん坊を授かり、喜んで育てることにしました。
月日が流れ、子供たちが8歳になりました。
すくすく元気一杯と育ったふたりは幸せに暮らしてました。
しかしその頃、はるか西の都で異変が起きていました。
突如現れた巨大な龍が人間を鬼に変え、人間の魂を奪い取らせているというのでした。
魂を奪われた人間は鬼となり、人々を苦しめているそうです。
第二章
鬼の魔の手は長串村にも伸び、おじいさんとおばあさんの魂も奪い去られてしまいます。
魂は銅鐸(どうたく)に入れられ鬼の手により鬼の砦に持ち帰られました。
運よく難を逃れた子供たちは、おじいさんとおばあさんを救うため鬼の砦へ向かい旅立ったのでした。
その旅が、自分たちの出生の秘密に大きく関わることとなるとも知らずに…。
第三章
おじいさんとおばあさんの魂を取り戻すため、ふたりは屏風岩の鬼の砦へと赴きます。
鬼の砦までの道のりは険しく危険でありましたが、知恵と体力を絞り砦にたどり着き潜入しました。
途中天狗の助けも借り、銅鐸を奪い返すことに成功しました。
しかし銅鐸は空っぽでした。魂はすでに鬼ヶ島へと送られていたのです。
遥か西にある鬼ヶ島へとふたりは再び長い旅に出ることになりました。
第四章
旅を続けると湖に沈んだ村がありました。
その村には竜宮城に関わる「ひのえ様」を祀った祠があり、都で暴れる龍を封じる者が現れた時その祠は開くと言われている。
男の子が湖に潜ると水中に沈むお寺で「ひのえ様」のお言葉を聞く。「龍を封じよ、そのために三つの宮水を探すのだ」と。「ひのえ様」は男の子に打出の小槌を与える。
湖からあがるとそこに女の子の姿はなかった。
「ひのえ様」から貰った小槌で成長した男の子は龍を封じるため、女の子を探すために道中で出逢った犬の「りんご」と共に西の都を目指します。
後編
後編をプレイするためには前編のディスクカードが必要なため、前編のデイスクカードをディスクライターにより後編に書き換えてはいけない。
第五章
三つの宮水を探すため、すでに廃墟と化した都にきた男の子と「りんご」。
なんとか全ての宮水を集め、「ひのえ様」から自分のすべき事を聞かされる。
そして鬼の屋敷へ忍び込み拐われていた女の子を無事救出する。
女の子もまた、気を失っている間に自分の出生の秘密の記憶を取り戻していた。
なんと女の子は乙姫だったのだ。
都を脱出したふたりは龍を倒し、人々を救うため白石の泉へと向かう…。
第六章
女の子の記憶を頼りに2人と1匹は奇怪ヶ森にやってきました。
白石の泉にたどり着くにはこの不気味な森を抜けなければなりません。
森の中で猿の「まつのすけ」と出逢い一緒に旅をすることになります。
奇怪ヶ森を抜けた一行は白石の泉の入り口と言われる権太桜へと向かいます。
第七章
雷が落ち、根元から焼けてしまった権太桜は地下空洞へと繋がっていた。
空洞の中は奥深い迷宮のようになっていたが、なんとか一行は目的であった白石の泉へとたどり着く。
白石の泉は巨大な鳥が番をしていて何人たりとも通さないと行く手を阻んでいたが、女の子を見るなり鳥は一羽のキジへと姿を変える。
キジの「おはな」はずっと泉を守ってくれていたのだった。
第八章
鬼ヶ島へと繋がる白石の泉に飛び込んだ2人と3匹は異次元空間を通る。
そこで男の子は夢を見る。それこそが自分の失われた過去であり、出生の秘密であった。
そして鬼ヶ島へたどり着いた一行。
たくさんの鬼がいるこの島で、奪われた人々の魂を解放しつつ龍の元を目指します。
そしていよいよ龍と一騎打ちです。
そしてふたりはとうとう龍を倒すのです。
第九章
龍を倒した喜びもつかの間、なんと龍は骨だけになっても襲いかかってきました。
男の子は決死の覚悟で龍に飛び乗り、その額に刀を突き立てます。
そして女の子の祈りが「ひのえ様」に届き、落雷がその刀に落ち龍にとどめを刺します。
骨すらも粉々になった龍は流石に滅びました。
この世に再び平和が戻ったのです。
乙姫としての記憶を取り戻した女の子は竜宮に帰らねばならないと告げます。
男の子は一緒に行くと言いますが、竜宮は普通の人間には入れない場所なのです。
それにおじいさんとおばあさんを放ってはおけません。
なんと男の子の前世は浦島太郎だったのでした。
ふたりは前世から強い絆で結ばれていたのです。
エンディング
鬼ヶ島は崩れ落ち、この世に平和が訪れました。
浦島と乙姫は別れを告げそれぞれの世界に帰ります。
乙姫は竜宮へ。
そして浦島は子供達の帰りを待つおじいさんとおばあさんの元へ。
きっといつかまた、逢えると信じて。
−完−
感動的な冒険物語
プレイ当時はまだ幼かった筆者だが、頑張って最後までクリアした思い出の作品。
最後に乙姫と浦島が離れ離れになるのは幼心に切なく、涙したのを覚えている。
その昔、両親や祖母、祖父から何度も聞いたことのある日本昔ばなしのキャラクターたちが勢揃いすることに胸をトキめかせ、この世を苦しめる鬼と龍を倒すため、女の子と長い長い旅をするお話には心から夢中になった。
心に染みる和のBGM
特筆すべきは各シーンで奏でられる様々なBGMだ。
和風テイストな音楽はとても8bit音で表現されているとは思えないほど素晴らしい楽曲で物語を盛り上げる。
今の時代に聴いても十分通用する素晴らしい名曲揃いである。
BGMを聴いただけでも、当時の思い出が蘇り涙してしまう。
2015年に
ADVの歴史に名を残す名作
任天堂が初めて発売したテキストアドベンチャーゲームであり、ディスクシステム初の2枚組ソフトでもある。
制作「山内溥」氏、監修「宮本茂」氏と今となっては錚々たる顔ぶれで制作された本作は、今でも語り草になる程素晴らしいタイトルだ。
優しい物語ではあるが、謎解きはなかなか芯のある物となっていた。
しかしそこは流石任天堂、ストーリーも面白く、謎解き要素も工夫が凝らされており、高いレベルで纏まってる。
操作する男の子と女の子を自由に変えられるシステムが秀逸。
片方にある行動をさせ、もう片方に切り替えて行動をさせることにより、条件が揃い次の展開へ進むと言うこの謎解きは当時としては極めて斬新なギミックあり、とても楽しかった。
大人になってからまたプレイをした事があるが、色褪せない面白さであった。
世代を問わず全ての子供たちにもプレイして欲しい名作アドベンチャーゲームだと思う。
本作が発売されてからもう32年の歳月が経った。
Switchでリメイクを出して欲しいと心から願うタイトルのひとつである。
今回は登場キャラクターが皆可愛らしく、どこか懐かしく、とても暖かい気持ちにさせてくれるアドベンチャーゲーム『新・鬼ヶ島』の紹介でした。
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